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2023-03-04

歌うフェンス

先日、わたしは動揺しながら散歩していました。
あるオンラインサロンに入っていたのですが、今年はもういいかなと思っていたところに、自動更新しましたとのお知らせが届いて、焦ってしまったのです。
サブスクリプションのことをはっきり理解しておらず、1年たったら終了か、継続確認が来るものと思っていました。
取りあえず、その旨をメールでお伝えし、キャンセルしていただけるようにお願いして、落ち着かないので、散歩に出かけました。

小さいなぁ…わたし。
1年分の年会費が決済されてしまったことを気に病みながら、いつもの川沿いの道を歩いていました。
頭でぐるぐる考えて、周りの景色も目に入らず…。

土手を降りたところで、ふと、音楽のようなものが聞こえてきました。
メロディというより、パイプオルガンのような音の響きが幾重にも重なって聞こえます。
はっとして耳を澄ましました。
周りには田んぼが広がっており、近くに民家はありません。
何だろうと思ったら、土手の道沿いに続いているパイプのフェンスが風に共振してそれぞれが音を発しているのでした。
それはとても美しい響きで賛美歌のようでした。
わたしは立ちすくんでしばらく聴き入っていました。
足元を見ると、オオイヌノフグリの青紫の小さな花がたくさん咲いています。

また歩き始めた時、さっきまでモヤモヤ感じていたものがすっかりなくなって、頭も心もすっきりしていることに気づきました。
そして、オンラインサロンはもし継続になったら、それはそれで有意義に楽しもうと思い、いろんな情報をもらえたことへのお礼になって良かったかもしれないと、気持ちが切り替わっていました。

何か不思議な美しいものに触れた時、一瞬で世界が変わってしまうのだということを目の当たりにしたように思いました。

後日、そのオンラインサロンは快くキャンセルに応じてくださいました。

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