フランスとインド (三)

◇町歩き
翌日、丘の上の旧市街へ散歩に行くと、大きい時計の付いた講堂のような広い建物があり、”Marche”と書いてあります。中に入ってみるとやはりマルシェでした。
パン屋、肉屋、魚屋、八百屋、お惣菜を売るお店がいくつも入っています。スーパーには生鮮品があまりなかったから、マルシェは新鮮でおいしいものが手に入る生活に直結した場所なのでしょう。
あちこち見てから、バゲット、オリーブの実の漬物、グラタンの量り売りを買いました。バゲットは大体1〜1.5ユーロで、どこで買っても大抵おいしくて安くて、ありがたかったです。
町にはお菓子屋さんもたくさんあって、ショーケースがとても華やかです。
私たちも近所のお菓子屋さんに入ってみました。
この季節ならではのガレット・デ・ロワもありましたが、わたしはベリーがたくさん乗っているタルトを、ひろしさんはメレンゲがふんわり乗ったケーキを迷いながら選んで持ち帰り、紅茶を淹れて部屋でいただきました。
マルシェへ行くことも、お菓子を食べてみることもフランスへの小さな憧れで、ささやかですが、それが叶ったことがうれしかったのでした。

丘の上の旧市街にはかつてのお城を礎に再建された市庁舎があり、この辺りから町が一望できます。
また、この町はデシネ(漫画やアニメ)で有名な場所で、今年はたまたま開催されませんでしたが、毎年、アングレーム国際漫画祭という大きなイベントがあり、海外からもたくさんの人が集まるようです。
シャラント川沿いの緑地も気持ちよく、リードを離して犬を散歩させている人も良く見かけました。
治安も良く風景も美しいので、散歩するのにもってこいの場所です。
暖かい季節だと、きっとたくさんの花が咲いて、外のベンチでのんびり過ごすのは気持ちがいいことでしょう。
アングレームの心地良かった部屋を思い出すと、時間が止まったように感じます。
静かで温かく、ソファで本を読んだり、そのまま眠ってしまったり。
近所に散歩や買い物に行って帰ってきてのんびりしていると、本当にそこに暮らしているようでした。
日本から持ってきたバレリーナの時計はずっと壁に飾っていました。
誰かにプレゼントできるといいなと思って持ってきた時計でしたが、自分のために部屋に飾っていると、何だか不思議な満たされた幸せな気持ちになったのでした。
足をゆらゆら揺らしながらバレリーナが時を刻んでいるあの部屋が、今もそのままあるような気がします…
(つづく)











