インドへ (一)
この冬、初めてインドへ行きました。
2週間ちょっとの旅です。旅の記憶が鮮やかなうちに書きとめたいと思いました。
インド行きが決まったのは去年の夏の話。
レミさんとタータアンワさんでご飯を食べているときに、インドの話が出たのでした。
あ、と思いました。
その時、ちょうどインドのことが気になっていたのです。いや、インドのことはずっと気になっていたけど、正にその頃気持ちが高まっていたというか。
レミさんがインドに行きたいと言われた時に、わたしも行くって思いました。
その時たまたま、店内にインドの特集の雑誌があって、二人でそれを変わるばんこ眺めていました。
インドに着くまで、ほんとに行けるのかなと思っていました。
実は8年ほど前に、やはりインドへ行こうとしていて、インドで小屋を建てるというプロジェクトに申し込んで、パスポートを更新し、ビザを取り、航空券も買い、現地で使う寝袋やマットレスも買い込み、細かい準備をたくさんして、いよいよ出発する3日前になって、行くことを断念したのでした。
今考えても、あの時は逆風が吹きまくっていました。
その時のわたしは悩みの中にあって、インドへ行けば運命が変わって何とかなるんじゃないかと思っていました。インド行きは家族にも応援されていなくて、強引な気持ちで進めており、なぜか荷物がいつまでたってもまとまらず、出発の日の天候は猛吹雪の予報。
そんな時に、内観の先生から電話がかかってきました。
「宇宙人とお話できる方が来てるから、いらっしゃい」と。
その人はサイババのようなちりちりの髪をした不思議な人で、宇宙人や地底の話、エネルギーの話をしてくれました。
そして、その見知らぬ人の前でわたしは泣きながら、自分の悩みを訴えていました。
これからインドへ行くのだと言うと、その人は「やめなさい」と言いました。
そして、インドへ行くことをやめたのです。
不思議にほっとした気持ちでした。
あの時、わたしはインドには呼ばれていなかった。
無理に行こうとしていたけど、まだだよ、と言われたのだと思います。
その後、自分と深く向かい合うことが続いて、自分を許して、自分を受け入れて、自分を大切にしていいとわかって…
少しずつ、少しずつゆるみ、流れ、溶けて…
ありのままの自分を愛することが、少しずつできるように、できるように。
そして、ようやく、インドへ。
(つづく)