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2024-02-06

インドへ (三)

インドに着いて二日目。
インドの交通事情はハードです。
ひっきりなしの車やクラクション、ふた昔前のような工事中の道路、乗り方のよくわからない鉄道やバス。
日本の整ったわかりやすい交通事情が当たり前と思っていると、激しくてうるさくて、わかりづらくてちょっとショックを受けるかもしれません。
列車もバスも混んでいて、外国人は私たちだけでした。多分、観光客はあまり使わないルートなのでしょう。
トリバンドラム→列車でコラム→バスでアラプーヤ→バスでマラリ地区→トゥクトゥクでゲストハウス

それでも、インドの地元の人たちとぎゅーっと一緒にいると、何だか楽しくもうれしくもありました。目が合うとニコッと笑ってくれる人が多くて、話しかけてくる人もいます。
乗ったバスはボロボロで、窓ガラスなどなく、途中ドアが開かなくなり、運転手さんが急いで直していました。
乗る時に自分の行き先が合っているか聞いて、着いたら教えてねとお願いしておきます。
チャーミングなバスの運転手さんのことが忘れられません。おじさんなのですが。
私たちが降りる場所に着くと、こっちを振り返ってにっこり笑いました。そして、周りの乗客の女の人たちと優しく何かを話します。その周りの人たちが、着いたわよ、と教えてくれました。

一日中移動をして疲れきっていたので、海辺のゲストハウスに着くと、ほっとしました。
このゲストハウスは以前何かで紹介されていて、ひろしさんが行ってみたいとずっと前に言っていたところです。また一つ夢が叶いました。
一番素敵だったのは、ゲストハウスの奥の池からボートを漕いでビーチまで行けることでした。
夕陽に向かってボートを漕いで行く。
南国の鳥がたくさん鳴いていて、池の向こうから子供たちが声をかけてきます。「名前を教えて!」と。
ビーチは夢のように美しく、ひろしさんは海へ入り砂浜に体を埋めています。
わたしが絵を描いていると、黒い野良犬がそっとやってきてそばで丸くなりました。
アラビア海に夕陽が静かに沈んでいく。
淡く透きとおりながら。

(つづく)

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