緑の王国の小さな森

オンライン展示の準備がようやくできて、ご覧いただけるようになりました。
写真は「苔と月星」というタイトルの、制作が途中の時の時計です。
instagramでこの写真を載せると、何人もの方からコメントを頂いたりして、苔好きの方が意外といらっしゃるのだなぁと思いました。

苔をとても見ていた時期があって、15年くらい前でしょうか、私は北海道の層雲峡という場所のホテルで働いていました。２ヶ月間の短期のアルバイトに行ったのです。
ちょうど10月頃でした。
ホテルでの仕事は吸血鬼のような風貌のちょっと怖い上司の方がいらっしゃってそれなりに大変なこともあったのですが、思い出すのは鮮やかな紅葉と豊かな自然のことばかり。それは夢のような美しさでした。
休憩の時間になると、その地域のちょっとした中心地であるビジターセンターの方へよく散歩に行っていました。

苔はその途中にあって、目の高さの石垣の上にふかふかと生えていました。
緑の王国の小さな森のように、いきいきとしてそこにありました。
苔をじっと見ていると、自分が小さくなって、その森や草原の中に入っていくような気持ちになりました。
そこには全く違う世界があったのです。